中国の古典といえば、以前紹介した孔子の
系統の儒教(ルゥジャオ)が、日本では伝統的に学ばれてきました。
しかし、諸子百家と称されるほど、
古代中国には様々な思想や哲学が生まれ、
相反するような思想も数多く存在します。
成し遂げるのに貢献したといわれる
法家(ファアジャー)の話題です。
法家は、授業のような道徳に寄らず、
厳格な法の制定と運用によって、
国家を統治するというものです(法治)。
ここでいう法治は、西洋或いは日本のように、
権力者の権限を法によって制限する法の支配ではなく、
為政者(皇帝)が、国家、人民を統治するための法という意味です。
現代中国においても、法治という言葉は使われますが、
法の支配よりも法による統治の意味合いが強いのが、
中国の法治の特徴です。
この法家は、始皇帝の時代に最盛期を迎え、
著名な思想家を輩出しました。
かなりシビアな内容になっていますが、
混乱する中国の戦国時代でこそ生まれた思想であり、
現代でも通用、運用される部分もあります。
商鞅の著書、『商君書』から民を御する
5つの手法(術)が挙げられています。
- 壱民(イーミン):統一的思想を持たせる。
- 弱民(ルォミン):国が強く、民が弱いことが国を治める道であるから、民は弱い方が良い。
- 疲民(ピーミン):民を疲弊させておき、他のことに関心が及ばないようにする。
- 辱民(ルゥミン):自尊自信が無いようにし、相互に牽制、検挙させ、常に生活の中に、怖れを抱かせるようにする。
- 貧民(ピンミン):生活に必要なほかは、財産は剥奪しておく。貧すれば鈍す。
どうです?日本人から見ると、ブラックですね。江戸時代、
「百姓は生かさぬよう殺さぬよう」という言葉がありましたが、
それのはるかに厳しい古代中国版ですね。