中国には、四大奇書と言われるものがあります。
奇書というのは、珍しい、優れた、面白いなどの意味を含むそうです。
《西遊記》、《三国演義》、《水滸伝》、《紅楼夢》が四大奇書です。
以前は、《紅楼夢》の代わりに、
《金瓶梅》が入っていたそうですが、
現代の中国では、先の四作です。
日本語では、書籍名を『 』で表記しますが、
中国では、《 》で表記します。」
《西遊記》は、とても有名で解説不要かもしれませんが、
それぞれについて、概略をまとめてみました。
いずれも名著ですので、読んでみるのがおススメですが、
長編小説ですので結構時間をかける必要がありますので、
まずは、中国の方との会話で一般教養として知っておくのが良いです。
〇《西遊記》:シーヨウジィ
・成立・執筆:唐の時代に中国からインドへ渡り、
仏教、道教の世界観も取り入れられ、明の時代に成立。
・時代設定:唐の時代(600年代)
・主人公:孫悟空(ソンウーコン)
・あらすじ:花果山の岩山から一匹の猿、
孫悟空が誕生するところから物語は始まる。
天界で素行が悪く大暴れしていた孫悟空は、
お釈迦様によって五行山に閉じ込められる。
それから時は流れ、唐の太宗の時代となっていた。
太宗は、世の乱れを、仏教の力で治めようと考え、
三蔵法師に、天竺に行き経典を持ち帰るように命じる。
救い出し、ともに天竺を目指す。
※花果山は、江蘇省連雲港に実在する岩山。五行山は、
ベトナムに実在する岩山。
唐の太宗は、唐の第二代皇帝で、唐の実質的な創立者、李世民のこと。
中国語では、唐太宗(タンタイゾン)と呼ばれる。
〇《三国演義》:サングォイェンイィ
・成立・執筆:歴史書《三国志》を基に、明の時代に書かれた歴史小説。
三国とは魏、呉、蜀のこと。
・時代設定:後漢末期~三国時代(西暦180年頃~280年頃)
・主人公:劉備(リュウベイ)、諸葛孔明(ジュウガァコンミン)
物語の前半は劉備が主人公で、その後ともに協力し、後半は孔明が主人公となる。
群雄割拠となりつつあった中、黄巾の乱が起こり、
後に戦いを繰り広げることになる曹操、劉備、孫堅などが鎮圧に関わる。
軍師、諸葛孔明を得て、天下三分の計に基づき、蜀を興す。
三国鼎立となったのち、時には手を組み、時には戦い、
そして時代が進んでいく。死期が迫った劉備は、
最期の決戦に臨む孔明は?
〇《水滸伝》:シュイフウチュエン
・成立・執筆:明の時代に成立。「滸」は、「ほとり」という意味であり、
「水のほとりの物語」というタイトル。
「水のほとり」とは、山東省南西部にかつて存在した湖沼、
梁山泊(リャンシャンポゥ)を拠点に世直しの反乱を起こす物語。
・時代設定:北宋末期
・主人公:宋江(ソンジャン)
登場人物が非常に多く、108名とされる志をもって、
梁山泊に集う好漢たちの物語がオムニバス形式に進んでいく。
・あらすじ:北宋末期、朝廷の権威の失墜、汚職や不正で夜が乱れていた。
各地で、宋を打倒し、新たな国づくりを志す者たちが
梁山泊を拠点に結集していく。
反乱軍ではあるものの、梁山泊には、軍人だけでなく、
医者、薬師、商人など様々な職業を持った者たちが
ひとつの国の形を作っていく。そして、
宋軍と梁山泊軍は、数々の戦いを続けていく。
※宋江は実在の人物で、梁山泊近辺で反乱を起こしたことは史実。
水滸伝はその後、講談師たちが物語を膨らませていったとされ、
水滸伝は、創作部分が非常に多い小説となっている。
〇《紅楼夢》:ホンロウモン
・成立・執筆:清の時代に執筆された長編小説で、
清の貴族の恋愛、貴族の栄華、没落を描く。
・時代設定:明~清の貴族を参考に架空の王朝
・主人公:賈宝玉(ジャァバオユゥ)
・あらすじ:上記3奇書と比べると、日本語版の作品が少ないため、
日本での知名度は低いが、中国の源氏物語のような評価の高い作品である。
ということで、四奇書のうち、唯一、読んだことが無いので、
以下のDVDの紹介サイトをご参考にして下さい。