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「ナタ2」に見る中国映画事情

現在、中国で、中国産映画「ナタ2」が空前のヒットとなっています。

1カ月弱で、興行収入123億元(約2500億円)は、

日本で社会現象となった「鬼滅の刃」(約500億円)と

比べるとその人気ぶりがわかります。

「ナタ2」は、2019年公開の第1作目の続編で、

中国の神話がモチーフのファンタジー3Dアニメ作品です。

 

1.ナタって?

 ナタは、中国語で「哪吒(ナァジャ)」と書きます。

この名前を聞いて、ピンと来る日本人は

少数だと思いますが、中国では元々、

知名度の高いキャラクターです。

 ナタは、道教や仏教などに出てくる托塔天王

托塔李天王ともいう)の三男で少年です。

托塔天王の托(トゥオ)は手に持つ、

塔(タァ)は塔(とう)の意味で、

托塔天王とは、手に塔を持った天王

のことです、、、、、、と言われても

わからないですが、托塔天王とは、

毘沙門天の別名です。毘沙門天は、

上杉謙信が信仰したことや、

七福神にも含まれているので、

日本でもおなじみですね。

 中国では、道教の神様として有名であり、

西遊記封神演義に登場する

キャラクターとしても古くから親しまれています。

 

2.中国映画事情

 ナタ2は、中国の伝統的なキャラクターであり、

最新の映像技術が駆使された戦闘シーン

などから瞬く間に大人気となりました。

 しかし、そんな大人気映画ですが、

中国以外では今のところ、大きな話題には

なっていません。これには、中国特有の

映画事情という側面も影響しています。

中国では、外国の映画上映には、

様々な制限があり、特に長期休暇中は、

中国国内映画が優先的に放映される

という仕組みになっています。

ジブリ映画の代表作「となりのトトロ」は、

日本での初公開から30年後の2018年に

ようやく中国で公開されました。

一方、中国でも人気の日本のアニメ作品は、

日本とほぼ同時に公開されることも

多くなってきましたが、まだまだ少数です。

「ナタ2」は過去の映画の興行収入

更新していることから、記録更新運動とも

いえる各地で観客として団体で動員されるような事例も出ています。

 ちなみに、「ナタ2」の監督、「餃子(本名・楊宇)」は、

1980年生まれで、日本のアニメ「ドラゴンボール

や「聖闘士星矢」見て育ったそうです。

本作では、「四川省出身者として、

映画の中に四川や成都の要素を無意識の

うちに取り入れているところが見どころ」

ということで、ナタに関連するスポット

を巡る「聖地巡礼」もブームになっています。